JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

海外メディア芸術祭等参加事業日本のメディア芸術を、世界へ。

企画展

“Ubiquitous Humanity (偏在する人間性)”


メイン会場 The Annex

【展示作品】
『形骸化する言語』

菅野 創+やんツ-

[2015/インタラクティブアート/第15回アート部門新人賞受賞作家]

文字は言語における視覚的な伝達及び記録の手段であり、世界中の文明が様々な文字を生み出し、それぞれの文化や歴史を伝えてきた。本作では文字の意味ではなく、その形状のみに注目し、人工知能によって文字の意味を読み取ることなく、形状とそのパターンだけを学習し、意味をなさないが文字のように見える線を生成し書き連ねていく。本作は国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」で発表され、国際色豊かな10名の参加作家から手書きのアーティストステイトメントや作品解説を収集することで実現された。一言語につき一人の筆記者から手書き文字を学習することで、人工知能はそれぞれの文字体系の形状に加え、筆記者の手癖をも学び取り、プロッターに乗り移る。生成された線は、あたかも重要な意味を持つ言葉であるかのように筆記され、見るものを欺こうとしているようにも見える。


『patch pass』

田口 行弘

[2016/インタラクティブ・パフォーマティブ・インスタレーション]

香港の路上で置き去りにされた壊れた傘をモチーフに、街中で即興パフォーマンスを行い、その様子を写真で記録し制作されるストップモーション映像。都市空間で展開された映像に加え、展示会場内でも会期中にアーティストとのコラボレーションを行い、その記録は随時作品として追加される。映像作品だけでなく、作品のモチーフとなった傘や傘生地などで構成されるインスタレーション作品。


『Drawing Operations Unit: Generation 1』

Sougwen CHUNG

[2015/インタラクティブインスタレーション/第19回エンターテインメント部門優秀賞作品]

作者と、作者が開発したロボットアームが協同して同時にドローイングを行なう作品である。ロボットアームは、天井に設置されたカメラとコンピュータの映像から得られる情報をもとに、人の動きを模倣するように設定されている。その結果、人とロボットが同時に相互の動きを解釈しあうかのようなパフォーマンスが生みだされる。この作品で作者は、ロボットが人間の振る舞いに同期する訓練をすることで、ロボットの自動化、自律性、人間とロボットの共同制作についてのアイデアを探求している。それと同時に、作者とロボットアームは、このシンプルなドローイング・パフォーマンスを通じて、人間の動きを模倣し、手順どおりに動くロボットによる、偶発性を伴う作画(マーク・メイキング)の可能性を追求している。


『ゾンビ音楽』

安野 太郎

[2013/メディアパフォーマンス/第17回アート部門審査委員会推薦作品]

本作は、リコーダーにエア・コンプレッサーで空気を送り、音を発する自作自動演奏ロボットによる音楽だ。ロボットには、機械が人間にいかに近付くかという命題があるが、本作の機械は、人間のようには演奏しない。ゆえにこの機械は厳密にはロボットとは呼べない。生きている人間の逆(死)を指向する本作の機械(ゾンビ)が、「ゾンビ音楽」を演奏するのである。


『プラモデルによる空想具現化』

池内 啓人

[2013/ジオラマ・ガジェット/第17回エンターテインメント部門優秀賞]

本作は「プラモデルによる空想具現化」をテーマに、パソコンをはじめその周辺機器をプラモデルを用いて改造し、ジオラマを作ることで、誰もが一度は空想するであろう世界を創り出したものだ。個人の記憶を保存する建物としてのパソコンは、その記憶を守るための要塞基地として、縦横無尽に動き回るマウスは防衛用の戦車として、本来の形状や使われ方に着想を得た具現化を施され、そのものが持つ特色や可能性が浮き彫りにされている。改造されたパソコンや周辺機器は、世界観を演出する建造物や風景として造形し直されているものの、機器を構成する電子回路や配線、機構などは破損されずに保たれており、そのまま使用することが可能である。


『Sign』

LEUNG Chi Wo

[2015/メディアインスタレーション/第19回アート部門審査委員会推薦選出作家]

非主流のコミュニケーション方法を学ぶことで、マスメディアによって敏感になりすぎている人間性について考察する映像インスタレーション。第1部ではオーストラリアの幼児手話の基本的なサイン(手話)をデモンストレーションすることで、親は障害の有無に関わらず子供とコミュニケーションをとる方法を習得することが可能であることを、観る者に伝える。第2部では若い母親が子供に手話で話しかけている様子を切り取ったフィクション映像。母はキャンベラ・タイムズ紙から抜粋した、愛情表現を表す単語と敵意を表す単語を並列して、娘に語り掛ける。母が日々直面している言葉(単語)は時に不快であり、平和的な母娘のコミュニケーションに違和感を与えることで、矛盾する現実社会を浮かびあがらせている。(13分)


『APHASIA 失語』

HUANG Yintzu

[2014/映像インスタレーション/第18回アート部門審査委員会推薦作品]

並列に設置された4台のスクリーンで構成される映像インスタレーション。スクリーン上には作者自身が演じる異なる時代の台湾人女性4人が映し出されている。歴史を通して「失語」状態にある台湾の政治的状況や、文化的アイデンティティの危機に対して、関心を呼び起こす作品。


【映像展示】
『Movement in Time Part 2』

©Bryan Wai-ching CHUNG

[第19回アート部門大賞受賞作家]

中国の格闘技映画の格闘シーンをコンピューターで分析したところ「千字文」と呼ばれる、文字どおり中国にある1000の草書体文字に使われている筆の動きと一致していることがわかった。格闘シーンの人々の動きを解析し、その動きに似た筆跡をもつ文字がデーターベースから自動的に選び出されることで、格闘シーンがユニークなテキストに変換される。


『Pendulum Choir』

Cod. Act (Michael DÉCOSTERD / André DÉCOSTERD)

[2012/ミュージックパフォーマンス/第16回アート部門大賞作品]

9人のアカペラと18の油圧ジャッキからなるオリジナル合唱作品。歌い手たちは角度可変の台座の上に立ち、生きた音響要素となる。9人はさまざまな状態に置かれた身体から音を生み出し、変化する音に合わせてなめらかに体勢を変えてゆく。彼らが発するのは、抽象的な音、反復する音、詩的あるいは物語的な音などさまざまである。彼らの身体は機械仕掛けの寓意のなかを生から死へと進んでいくのだ。テクノロジーの複雑性と生身の身体の叙情が融合した『Pendulum Choir』は創世的な特質を備えた作品と言える。(12分31秒)


『Prospectus for a Future Body』

Ka Fai CHOY

[2011/メディアパフォーマンス/第15回アート部門審査委員会推薦作品]

ダンスの身体の動きとデジタル技術の関係に焦点を当てた、リサーチプロジェクト。日本の暗黒舞踏家・土方巽の作品『夏の嵐』(1973年)におけるダンサーの体の動きをベースに、その時々に稼働する筋肉の収縮運動を電気信号化させてデジタル保存し、被験者の体に再生させるという第1部をはじめ、デジタル化された筋肉運動の記録を調査テーマとした全4部作からなる。最新技術を用いることによって、人の身体が記憶可能な運動領域の可能性を思索している。(4分)


『トラヴィス「ムーヴィング」』

Tom WRIGGLESWORTH / Matt ROBINSON

[2013/ミュージックビデオ/第17回エンターテイメント部門優秀賞作品]

イギリスのバンド「トラヴィス」のシングル『ムーヴィング』のミュージックビデオ。息が白く見える低い気温の中で、バンドメンバーが歌う息に、プロジェクターでアニメーションを投影し、撮影されている。彼らの初期作品『Love is in the Air』で試みた技術を応用した、特殊技術を使わないカメラの撮影というアナログな手法で、ヴィジュアル・エフェクトのような効果を生み出すことに成功している。アニメーションは、それぞれのバージョンで息をしては微調整を繰り返し、最も鮮明な映像を求めて何百ものバリエーションを試作しながら数週間かけてじっくりと作成された。本作の撮影は、人工的に氷点下にまで冷やされたスタジオの中で複数のプロジェクターを用いて行い、そこにはバンドメンバーを暖めるためのたっぷりの熱いお茶も用意されたという。(4分28秒)


『忍者女子高生|制服で大回転』

『忍者女子高生』プロジェクトチーム

[2014/映像作品/第18回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品]

一見ごく普通の女子高生二人組が、学校を飛び出して、忍者のように街全体を縦横無尽に飛び回る映像作品。驚異的な身体能力を持った女子高生たちが、壮大な追いかけっこをしながらアクションを繰り広げる。スマホで動画撮影したように見せかけながら、CMとして制作された本作は、ネット上で公開され一ヵ月で600万回の再生回数に達し話題を集めた。(3分26秒)

サテライト会場

【劇場アニメーション上映】
日時: 11月27日(日) 15:00-17:00
会場: Future Cinema Studio 6F (M6094)
『おおかみこどもの雨と雪』

細田 守

[2012/劇場アニメ―ション/第16回アニメーション部門審査委員会推薦作品]

19歳の大学生「花」は、おおかみおとこと運命的な恋に落ちる。やがて「雪」と「雨」という2人の“おおかみこども”を授かるものの、突如訪れた、父親であるおおかみおとこの死。まだ幼い“おおかみこども”を抱えた花は、人間かおおかみか、どちらの生き方も選べるように、美しくも人里離れた田舎のなかで2人の子どもを育てる決意を固める。花と子どもたちとの13年間にわたる親子の物語。
(116 min. 54 sec.)


日時: 11月27日(日) 17:30-18:30
会場: Future Cinema Studio 6F (M6094)
『攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain』

黄瀬 和哉

[2013/劇場アニメ―ション/第17回アニメーション部門審査委員会推薦作品]

士郎正宗のマンガを原作として、劇場やテレビなどでアニメーション化されてきた「攻殻機動隊」シリーズ最新作の第1話(全4話)。情報ネットワークとサイボーグ技術の発達によって人々の意思が“電脳”でつながれた未来社会を舞台に、凶悪犯罪阻止を目的とした“攻殻機動隊”の創設と全身サイボーグのヒロイン「草薙素子」の物語が描かれる。
(58 min. 17 sec.)

【『はちみつ色のユン』 アニメーション上映&スクリーニングトーク】

会場:Future Cinema Studio 6F (M6094), Run Run Shaw Creative Centre
日時:11月28日(月) 16:00-17:15

アニメ―ション上映 『はちみつ色のユン』 

11月28日(月) 17:30-19:00   *仏語⇔英語逐次通訳

スリーニングトーク
出演:JUNG(原作者・共同監督)
   Waliczky Tamas Pal(香港城市大学教授)


『はちみつ色のユン』

JUNG/ Laurence BOILEAU

[2012/ドキュメンタリー・アニメ―ション/第17回アニメーション部門大賞]

朝鮮戦争後の韓国では、多くの子どもが養子として祖国を後にした。その中の一人「ユン」は、ベルギーのある一家に“家族”として迎えられた。肌の色が異なる両親と4人の兄妹とともに生活を送る中で、フランス語を覚え、韓国語や孤児院での生活を忘れることができた「ユン」。そんな時にもう一人、韓国からの養女がやってきて“家族”に加わった。彼女を見て、「ユン」は自分が何者なのかを意識し始める―。現代のソウル、そして1970年当時のユン監督が写された8ミリフィルムや記録映像による実写と、手描きやCGによる3Dアニメーションといった多彩な手法でシーンを描き分け、アニメーション表現の可能性を切り拓く。肌の色が違っても、血のつながりがなくても、愛に満ちている“家族”のあり方を本作は物語っている。

【「Ubiquitous Humanity」 短編アニメーション上映】
会場: Future Cinema Studio 6F (M6094)
日時: 11月28日(月) 15:00-15:45

『火要鎮』 大友 克洋 (第16回アニメーション部門大賞)
『The Sense of touch』 Jean-Charles MBOTTI MALOLO (第18回アニメーション部門優秀賞)
『Ici, là et partout』 冠木 佐和子 (第17回アニメーション部門審査委員会推薦作品)
『Rainy Days』 Vladimir LESCHIOV (第18回アニメーション部門審査委員会推薦作品)
『まつすぐな道でさみしい』 岡本 将徳 (第16回アニメーション部門審査委員会推薦作品)

【文化庁メディア芸術祭 受賞作品上映】
会場: Screening Theater M1052 (LG1)
日時: 11月29日(火)15:00-  上映プログラム「Focus in Japan Selection 2016」
        16:30-  上映プログラム「Award-Winning Program 2016」
【第19回文化庁メディア芸術祭マンガ受賞作品閲覧コーナー】
日時: 11月27日(日)~29日(火)  15:30-18:30
場所: 上映会場入り口

『かくかくしかじか』 東村 アキコ (第19回大賞)
『淡島百景』 志村 貴子 (第19回優秀賞)
『弟の夫』 田亀 源五郎 (第19回優秀賞)
『機械仕掛けの愛』 業田 良家 (第19回優秀賞)
『Non-working City』 HO Tingfung (第19回優秀賞)
『エソラゴト』 ネルノダイスキ (第19回新人賞)
『たましい いっぱい』 おくやま ゆか (第19回新人賞)
『町田くんの世界』 安藤 ゆき (第19回新人賞)

関連イベント会場:The Annex

【オープニングパフォーマンス】
出演: 安野 太郎、田口 行弘、Lau Hochi,、Sougwen CHUNG
日時: 11月26日(土) 16:00-

オープニングイベントとして、4人の作家がそれぞれの作品によるパフォーマンスを行います。

【アーティストトーク「作品(制作)の失敗」】
出演: LEUNG Chi Wo × 田口行弘
菅野 創 × Sougwen CHUNG
安野 太郎 × Lau HOCHI × 池内 啓人
  15:30―16:30
  17:00―18:00
  18:30―20:00
モデレーター: 高橋 瑞木
日時: 11月27日(日)  15:30-20:00

機械によって多くの物が大量生産される現代。私たち人間は常に機械に完璧であることを求めています。一方、アーティストは作品制作に際し、失敗のプロセスを経て作品を完成させます。失敗は完璧の前提にある人間性であり、展覧会で展示される作品は最終的な完成品といえるでしょう。本トークでは、それぞれの作家が体験した様々な失敗談を語ります。

【キュレータートーク】

「Language, Gesture and Emotion: Ubiquitous Humanity in Media Art」

出演: HUNG Waiching Bryan(出展作家/香港浸会大学助教) × 高橋瑞木(本企画ディレクター)
日時: 11月27日(日)  14:00-15:00
【クロージングパフォーマンス】
出演: 田口 行弘、安野 太郎
日時: 11月29日(火)  18:00―
【デモンストレーション】
出演: Sougwen CHUNG 『Drawing Operations Unit: Generation 1』
日時: 11月27日(日)  12:30-
11月28日(月)  14:00-、 15:00―
11月29日(火)  16:00―
出演: Lau HOCHI 『wasd human』
日時: 11月27日(日)  13:30-
11月28日(月)  14:30-、 15:30―
11月29日(火)  17:00―