JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

海外メディア芸術祭等参加事業

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EYEMYTHメディアアーツ・フェスティバル

2月19日から21日まで、インド・ムンバイにて行なわれるEYEMYTH(アイミス)メディアアーツ・フェスティバルに文化庁メディア芸術祭企画展「The Medium as Somatic Impulse ―身体的衝動としてのメディウム―」を開催しました。人口12億人を超え急速な発展を遂げているインド。その最大都市であり商業都市ムンバイは、多くの現地企業や海外企業が進出し、映画産業ボリウッドはじめ、コンテンツ産業が拠点を構える流行発信基地となっています。そのムンバイで開催されたEYEMYTHメディアアーツ・フェスティバルはアート、エンターテインメント、パフォーマンスなど、ニューメディアによる表現に特化したフェスティバルです。文化庁メディア芸術祭では、インターネット配信番組DOMMUNE主宰や現在美術家などマルチに活躍する宇川直宏氏を企画ディレクターに迎え、人間の身体が持ち合わせる潜在的な力について再考するため、5組の作家によるテクノロジーやサウンドを扱ったパフォーマンスや作品などを紹介しました。
メイン会場のSitara Studioにて、内橋和久氏のサウンドインスタレーション作品などが展示されたほか、現地作家によるインド古来に伝わる医学をテーマにした作品やインディーズゲーム作品等が展示されました。150年の歴史を誇る映画館Edward Cinemaでは、内橋和久氏による多彩な音色を創り出す不思議な木製楽器ダクソフォンの演奏と、galcid+齋藤久師氏によるアナログを基本としたモジュラーシンセサイザーの即興演奏が行われました。来場者は音の多様さに驚きつつも、全く異なる世界観のコントラストを楽しんでいました。3日間にわたって開催されたフェスティバルは、オーディオと視覚的なコンテンツが融合した多様性に溢れるものとなり、ニューデリーやムンバイで活動するアーティストやデザイナー、専門家等も多数参加しました。
*出演を予定していたドラびでお/一楽儀光は、都合によりキャンセルとなりました。

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概要

文化庁海外メディア芸術祭等参加事業 企画展
「The Medium as Somatic Impulse ―身体的衝動としてのメディウム―」
会場:Sitara Studio(インド・ムンバイ)
Edward Cinema, Dolby Laboratories, Piramal Museum of Art(インド・ムンバイ)
会期:2016年2月19日(金)〜2月21日(日)
入場料:無料(*ただし2/20(土)Edward Cinemaはフェスティバルバスが必要 RS200~)

主催:
文化庁
共催:
EYEMYTH Media Arts Festival
協力:
一般社団法人TodaysArt JAPAN/高松メディアアート祭/国際交流基金ニューデリー日本文化センター
企画ディレクター:
宇川 直宏(現在美術家/京都造形芸術大学教授/DOMMUNE主宰)
事業アドバイザー:
毛利 嘉孝(東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科准教授/社会学)
吉岡 洋(京都大学大学院文学研究科教授/美学・芸術学)

参加者の声

宇川 直宏

(インド企画展「The Medium as Somatic Impulse ―身体的衝動としてのメディウム―」企画ディレクター)

インド最大の都市であるムンバイは、スラム化した巨大マーケットを横目で見ながら、超高層ビルが立ち並び、日進月歩で経済的発展を遂げている!この都市で開催された文化庁メディア芸術祭@EYEMYTHは、文字通り、歴史と伝統とメディアの融合、そしてテクノロジーと人間の身体のギリギリの格闘を映し出すフェスティバルとなった。パフォーマーの全身全霊から放たれる創造の根源としての身体的衝動と、現代テクノロジーの蜜月をライヴパフォーマンスとして開放し得、我々は喝采を得たのだった!そしてこれらパフォーマンスは、150年前の映画館や、ドルビーインディアなど、南アジアの映画の都ボリウッドを象徴する会場で行われた。人間の生きた痕跡が一度も浄化されることなくそのまま都市化したようなスラムの中に潜む、ムンバイのアート、そしてエンターテインメント!人口減少や都市機能の郊外移転、またコミュニティの衰退が大きな問題となっている東京からこの地に招聘された我々が目にしたものは、日本の戦後のヤミ市のような活気に溢れたマーケットであった!無秩序に拡張し続ける市場…。あちこちから香り漂うスパイスに混じって強烈に主張する牛のフン…。路上で奇形化したキャラクターグッズを売りさばく人々…。横丁で拾ってきたモノを売りつけようとする子供達…そして物乞い、物乞い、物乞い…。野良犬、野良猫、更に野良犬…。日本で野良犬を見なくなって久しいが、この生き生きと自己主張するムンバイの野良犬達は、屋台で食事する人々に食べ残しを与えられ、逞しく生きている。そうか、そうだったのか…。地域活性化、そして地縁やコミュニティの結束に野良犬は重要なフィルターになっていたのか…今回の展覧会のテーマは「The Medium as Somatic Impulse」"身体的衝動としてのメディウム"だ。勿論、メディアもテクノロジーも必要だし、ドローンやロボットやAIとの共存も重要だ!しかし、今、僕たち日本人が必要としているメディウムは、この野良犬のような生身の触媒ではないか…?そう、ムンバイは生きていた!!!! 果たして東京は?そして日本は?多くの示唆と課題を与えられたツアーであった。

内橋 和久

(第18回アート部門審査委員会推薦作品/EYEMYTHメディアアーツ・フェスティバル企画展参加)

私にとって今回が初めてのインド体験。いろいろ不安もありましたが、スタッフの協力のもと無事展示と公演を終えることができました。インド側スタッフはお願いしたことには一切NOと言わず、とても協力的で誠実に対応してくれたことがとても心に残っています。何より皆が楽しんで参加していることにとても好感を持ちました。コンサートも、やっていて観客の皆さんの興味深そうに聞き入る感じが、私の演奏にもいい意味のリラックス感を与えてくれ、それに緊張感も加え、お互いに良い時間が共有できたこと確信しています。知らないものを知る喜びって素晴らしいし、知らない人の前で演奏する喜びも得難いものです。展示も長い時間いてくださった方々も多いと聞きました。ムンバイならではの空間が演出できたと思います。最後に貴重な機会をいただけたことに対する感謝の気持ちと、一生懸命手伝ってくださった現地そして日本側のスタッフにお礼を言わせてください。また来れる日まで。

齋藤 久師

(EYEMYTHメディアアーツ・フェスティバル企画展参加)

公演は1818年に建築された歴史のあるEdward Cinema。映画館であるため、お客さんは全て座っている。しかし、驚いたことに座りながらも我々の発信する電子舞踊音楽に、まるでダンスホールで踊るかのような歓声とアクションで答えてくれた。そこは映画の国インド。彼らは日常的に映画を見ながら一緒に歌い、踊る事がスタイル、文化として根強く定着しているのだ。地元の先鋭音楽家たちとの文化交流もでき、非常に充実した日々であった。

galcid (Lena)

(EYEMYTHメディアアーツ・フェスティバル企画展参加)

ドルビースタジオでのワークショップでは、集まった生徒さんたちが真剣に私たちのレクシャーを聴く。ジョークを挟んで皆が笑う。私達の楽器を実際に触れて貰いながらセッションする、素晴らしい交流ができた。エドワード・シネマでのライブステージでは、私達の演奏の熱に、客席が歓声で返してくれる。グルーヴがしっかり伝わっていることがわかった。演奏後も、アンコールが響いた。無事に届けられたことに安堵した。

galcid (Neon)

(EYEMYTHメディアアーツ・フェスティバル企画展参加)

ワークショップでは、楽器を演奏するとはどういう事なのか、シンセサイザーを音楽に取り入れるとはどういう事なのか、少しでもその意味を頭と感覚で理解して欲しかった。結果、目を輝かせながら演奏をする彼らの姿は、シンセサイザーがスキルではなく感覚で演奏出来る世の中で一番新しい楽器であることを確信させてくれた。この発見は私の喜びでもあったし、インドのオーディエンスが何か見出してくれたなら、本当に嬉しい。

展覧会コンセプト

企画ディレクター 宇川直宏

『WIRED』の元編集長クリス・アンダーソンが著書『MAKERS』で指摘しているように、現代は“クリエイター主義”を超え、CADや3Dプリンターを駆使した今世紀的“ソーシャルもの作り主義”=メイカーズムーブメントが巻き起こり、すでに21世紀の産業革命は始まっている。一方、2010年代の抽象絵画のトレンドとして、『ザ・メディウム・オブ・コンティンジェンシー』という概念がある。これは、作家の創作意図を超え、因果律すらをも超越した偶然性を作品に取り込むという態度だ。この相反するクリエイティヴを共振させることは果たして可能なのか!?

これら同時代性を総括する2つのコンセプトを探求すべく、僕は作品に対峙した!そして、その地平に浮かび上がった世界!それは、メディアでも、テクノロジーでもなく、生身の人間だった!耳を澄ますと聞こえてくるアーティストの息ずかい……気配として佇む作家の残り香……透かし見ると浮かび上がる手垢、血痕……そう、アーティストの眼差しや想念が創造の光となって、テクノロジーを超越し、立ち上がる! そこで僕は「The Medium as Somatic Impulse」というテーマを打ち立ててみた!身体的衝動としてのメディウム!新たなる触媒も新奇な技術発明も、創造の主が利用する道具、そして器に過ぎない!ロックアートも洞窟壁画も、ナスカの地上絵もピラミッドも、神話を背負った太古のメディアアートだと捕らえることができるが、遥か以前からメディアもそしてテクノロジーも、イマジネーションを具現化するひとつのツールに過ぎないのである!想像力は創造力になりうる!つまり、身体的衝動をメディアに映し出す力こそが、アートにとって最も重要なアビリティなのではないか?ここにはステレオタイプな未来像など軽く打ち破った、オルタナティヴ・フューチャー達が鼓動を刻んでいる筈だ!!

宇川直宏(現在美術家/京都造形芸術大学教授/DOMMUNE主宰)

1968年、香川県生まれ。グラフィックデザイナー、映像作家、ミュージック・ビデオディレクター、VJ、文筆家、京都造形大学教授、"現在美術家"など、多岐にわたる活動を行う全方位的アーティスト。

参加アーティスト
■Chapter1/The Medium as Somatic Impulse — Performance

テクノロジーの進化とともに発展を遂げるメディアアートの提議自体、本来、脱領域的であるが、第一章では、クリエイティヴの根源としての身体的衝動と、現代テクノロジーの蜜月をライヴパフォーマンスとして展開する。
galcid+ドラびでお+齋藤 久師(モジュラーシンセ+レーザーによるライブ)
内橋 和久 (ダクソフォンによるライブ)
*ドラびでお/一楽儀光は、都合により出演がキャンセルとなりました。

■Chapter2/The Medium as Somatic Impulse — Installation

第二章は、著しく進化を遂げるプロトタイピング技術やセンシングなどのクリシェだけに回収されない、ポスト・ヒューマンインターフェイスとも言うべき、インスタレーションを展開する。身体と外界との相互作用、テクノロジーと身体、日常生活空間の再定義などをテーマとして展示する。
『neural portraits』真鍋 大度(2014/デジタルフォト)
『ein Wald von Daxophone ―ダクソフォンの森』内橋 和久 (2014/インスタレーション/第18回アート部門審査委員会推薦作品)

■Chapter3/The Medium as Somatic Impulse — Gadget

第三章では CADや3Dプリンターを駆使したプロトタイピング技術による、今世紀的“ソーシャルもの作り主義”=メイカーズムーブメント。「第三の産業革命」といわれるこの潮流を、本展のテーマである「The Medium as Somatic Impulse」の概念で解析した、真のオルタナティヴ・フューチャーを第 紹介する。
『handiii』近藤 玄大/山浦 博志/小西 哲哉
(2014/ガジェット/第18回エンターテインメント部門優秀賞)

■Chapter4/The Medium as Somatic Impulse—Short film OVERSEAS

第18回アート部門・エンターテインメント部門の受賞作品等のうち、作品の根幹を成すコンセプトが、時間/場所/身体の三要素で構成されたショートフィルムのみを世界中から厳選。2014年のショートフィルムの動向を「身体的衝動としてのメディウム」のテーマで切り取る。
『Kintsugi』APOTROPIA(Antonella MIGNONE/Cristiano PANEPUCCIA)[イタリア]エンターテインメント部門優秀賞
『The Mute』Hilla BEN ARI[イスラエル]アート部門審査委員会推薦作品
『KAWURAS』Hendrik LACKUS/Lars SICHAU/Andreas MEVES[ドイツ]エンターテインメント部門審査委員会推薦作品
『FAINT』Natalie PLASKURA [ドイツ]エンターテインメント部門審査委員会推薦作品
『WE ARE OUTSIDE PLAYING IN THE GARDEN』Friederike HOPPE[ドイツ]エンターテインメント部門審査委員会推薦作品

■Chapter5/The Medium as Somatic Impulse—Drawing Animations 2014

アニメーションは、その語源が、ラテン語の「anima」=「霊魂」であるように、生命のない画像に命を与えて動かすことを意味するが、第五章は、表現の初期衝動としてのドローイング・アニメーションの最前衛を、エンターテインメントとアニメーション部門を横断しながら特集する。
『家族のはなし』 上島 史朗/淺井 勇樹/加納 彰/菅野 悟子/相原 幸絵/audioforce /泉田 岳/鉄拳 [日本] 第18回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品
『安全運転のしおり』 AC部(安達 亨/板倉 俊介) [日本] 第18回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品
『やますき、やまざき』 ししやまざき [日本] 第17回アニメーション部門審査委員会推薦作品
『Remember Me』 端地 美鈴/『Remember me』制作チーム(代表:酒井 洋輔)[日本]
第18回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品

関連イベント

■ ワークショップ

シンセ学院@ムンバイ
講師:galcid+齋藤久師
日時:2月19日(金) 15:00~17:00
会場:Dolby Laboratories

日本から持参したアナログシンセサイザーやモジュラーシンセサイザーを使い、その成り立ちから基本的な構造までの基礎を学びます。また、実際に参加者がシンセサイザーを触りながら音を出すことで、普段あまりなじみのないアナログ/モジュラーシンセサイザーを身近なものにします。

■ トークイベント

日本とインドの新たなメディアの可能性を探る 
出 演:宇川 直宏(企画ディレクター)、 Avinash Kumar(EYEMYTH Media Arts Festival代表) 、
Dr. Padini Ray Murray(Srishti School of Art, Design and Technology)
日時:2月21日(日) 15:00~16:30
会場:Piramal Museum of Art

本企画テーマから選出した作家や作品、文化庁メディア芸術祭の作品傾向などを基に、人間の潜在能力とメディアについて考察。また、日印の文化的背景から、宇川氏、本フェスティバルディレクター、インドのデジタルアーティストでビデオゲームスタディーズの女性専門家を交え、現在の状況からこれからの生まれてくるメディアの可能性を、日本とインドの視点でディスカッションします。

■文化庁メディア芸術祭 受賞作品上映

日時:2月20日(土)
会場:Edward Cinema
20:00~ 上映プログラム「Beyond the Technology-テクノロジーを越えて
17:30~、20:30~ 上映プログラム
Entertainment & Animation Selection 2015 -エンターテインメント・アニメーション部門セレクション2015

■ライブパフォーマンス

日時:2月20日(土) 22:00~
会場:Edward Cinema

しゃべる木製楽器・ダクソフォン*/ 内橋和久
ダクソフォンは、デザイナーや音楽家として活躍したドイツの奇才ハンス・ライヒェルが創作した木製楽器。パーカッションのようなリズムを刻み、弦楽器のような音を奏で、また生き物の鳴き声のようなダクソフォンは、多彩な音のバリエーションを持っています。 *木製の「サウンドボックス」にコンタクトマイクが内蔵され、様々なかたちの「タング」と呼ばれる木片をとりつけます。ギターネックを変形させた 「ダックス」を左手に、右手にコントラバスの弓などを持ち、弾いたり叩いたりして演奏します。

モジュラーシンセサイザー VS レーザーギター/galcid+齋藤久師+ドラびでお 
analog synthesizer、modular synthesizer、LaserGuitarからなるImprovisation (即興)グループ。
光と音とビートで隙間ないパフォーマンスを行います。
*ドラびでお/一楽儀光は、都合により出演がキャンセルとなりました。

日時:2月21日(日) 21:00~
会場:Todi Mill Social


モジュラーシンセサイザーインプロビゼーション/galcid+齋藤久師
アナログシンセ女子ユニット 「galcid」と、孤高のシンセシスト「齋藤久師」からなるグループ。
analog synthesizerとmodular synthesizerをメイン楽器とし、No Preset/No PCを提言にImprovisation(即興)でLIVEを行います。その場に居る人しか共有出来ない、「その時」、「その一瞬」のサウンドとリズムを即興ライブによって体験できます。

ダクソフォン VS レーザーギター/内橋和久+ドラびでお
木製楽器「ダクソフォン」と「LaserGuitar」(自作のDORAnome3)との饗宴。
*ドラびでお/一楽儀光は、都合により出演がキャンセルとなりました。


「EYEMYTH Media Arts Festival」とは
インド・ムンバイで毎年開催されているUnboxフェスティバルとeyemyth visual music festival。両フェスティバルがメディアアート、パフォーマンス・アートに特化した「EYEMYTH Media Arts Festival」として、この度リニューアルすることとなりました。