加事業 | JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

海外メディア芸術祭等参加事業日本のメディア芸術を、世界へ。

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レポート

在シンガポール日本国大使館内の日本文化の発信拠点である「ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)」をメイン会場に、2月3日から2月16日まで、企画展を開催しました。世界から注目を集めるアジアのアーティストたちの作品が大型美術館、ギャラリー等に展示されるシンガポール・ビエンナーレ(現代アートフェスティバル)開催中に行われたこともあり話題を集めました。


アーティストトーク

2月4日(土)午後、出展作家によるトークイベントを2部構成で開催しました。 日本、シンガポールの同世代の女性アーティスト、海老原祥子氏、Sarah CHOO Jing氏が出演したセッション1では、展示テーマの「Landscapes」に寄り添った、フレームや構図について2人からのコメントがありました。海老原氏は「まず枠を決めるところから作品作りが始まる」と、作品作りに占める”枠”の重要性に言及。Sarah氏は、定められた構図の中で、デジタル技術を駆使しつつも、動き続ける映像をいかに”普通”に見えるように工夫しているかを語りました。

セッション2では、企画ディレクターであるエキソニモの千望けん輔氏、赤岩やえ氏と高嶺格氏の3人が出演。まず高嶺氏とエキソニモが、それぞれ自身の作品歴をプロジェクターで投射しながらわかりやすく解説し、参加者の興味を惹きつけました。その後、作品の素材とメディアをどう選択していくか、作品がフレームを超えていくための意識付けがいかに重要か、などについて3人のトークが展開されました。


劇場アニメーション上映

オーチャードロードの中心地にある「Shaw Theatres Lido」にて、2月5日(日)と2月12日(日)の2日間で劇場アニメーション5本の上映を行いました。
シンガポールでも公開後大人気となった『君の名は。』や、シンガポールでは今回が初公開となった『この世界の片隅に』が上映されることもあり、公式ウェブサイトで上映の告知をすると、すぐに各プログラムの鑑賞申し込みが定員枠に達する人気を集めました。


参加者の声

エキソニモ(千房 けん輔・赤岩 やえ)

シンガポール企画展「Landscapes: New vision through multiple windows」ディレクター/第16回アート部門、第17回エンターテインメント部門審査員推薦選出作家)

現在、私たちエキソニモはNYに滞在しつつ、ニューメディアとアートとのリサーチを行っている。そんな中、シンガポールでの本展の企画ディレクターの依頼を受けることになり、欧米=日本=シンガポールという三角関係の中で企画をすすめることになった。シンガポールでは今、メディア・アートもしくは Maker ムーブメントのようなテクノロジーxクリエイティブティに対する興味が若い層を中心に広がっていると言う。そういう意味では元々テクノロジーへの興味が強い日本はより先に進んでいるとも言える。また欧米ではテクノロジーに対する過度の信仰の様なものはなく、むしろ批評性に重きが置かれている。そんな中で、今日的なテクノロジー(今回の場合は特にインターネット、そしてスマートフォン以降)の状況を踏まえつつ、それを無条件に賞賛するのではなく、批評的な視点を持った作品を選んでいくことにした。
テーマとして設定した「風景」に関して、3種類の視点(技術が変えた遠くから見える風景/身体との関係性から浮かび上がる新しい風景/周囲の景色を取り込み風景の意味を書き換える)から選んだ作品群は、会場となったJCCが繁華街の中心地にありつつも、緑に囲まれた大使館の敷地内にあるという特殊性や、窓が多く周囲の風景をすでに取り込んでいる状態という、いわゆるホワイトキューブとは違う条件に反応するように、効果的にインストールされていった。オープンしてから会場では若い人の姿をよく見かけた。今回はコンセプトに重きをおいた作品選択だったために、どの作品も自分から関わっていかないと読み解けない難解さを持ち合わせ、またいわゆるMaker的なものや日本的なメディア・アートとは違った毛色をもった作品が多かったが、彼らの行動を見ていると、自ら作品を読み解こうとする姿勢を感じられた。まだまだメディア・アート自体が現在進行形であり、定義も定まらない中で、多様なメディア・アートのあり方を、シンガポールという今後アートが成長していくであろう場で見せられたことはとても意義深いものであったと思う。

津田 道子

(第20 回アート部門新人賞受賞作家/企画展「Landscapes: New vision through multiple windows」参加)

展示する空間によって作品が大きく変わるため、会期の最後には、今回の展示空間の中での作品の在り方が合ってきていたのではないのかと思います。

海老原 祥子

( 第19 回アート部門審査委員会推薦作品選出作家/企画展「Landscapes: New vision through multiple windows」参加)

日本だけではなく、他の国に対して、どのように自分の作品や写真が発展していくのか今後も考えていきたいと改めて思いました。

Sarah CHOO Jing

( 第19 回アート部門審査委員会推薦作品選出作家/企画展「Landscapes: New vision through multiple windows」参加)

この展覧会に唯一のシンガポール人として参加できました。それぞれの作品にはもちろん相違点はありますが、多くの共通点を発見できたことがとても面白かったです。

高嶺 格

(企画展「Landscapes: New vision through multiple windows」参加)

今回の展示は、メディアと背景の関係や、ボーダーをちょっとブレさせるようなことになったかなと思います。そういう発見があったので、自分としても面白かったし、来た人たちにはそこに気づいてもらえたらなと思っています。

2017年2月3日(金)から2月18日(土)まで、在シンガポール日本国大使館内の、日本文化の発信拠点であるジャパン・クリエイティブ・センターにて、企画展を開催します。企画ディレクターは、1996年から活動を開始し、実験的なプロジェクトを数多く手がけてきたアーティスト「エキソニモ」の千房けん輔氏と赤岩やえ氏です。本企画展では、「Landscapes: New vision through multiple windows」をテーマにセレクションしたメディア芸術作品を展示します。そのほか、市内の映画館にて、人気劇場アニメーションの上映も実施します。

作品紹介

会場:ジャパン・クリエイティブ・センター

海老原 祥子

[2015/グラフィックアート/第19回アート部門審査委員会推薦作品]

全国の観光地にある団体客用の撮影台に作家がスーツ姿でひとり立ち、現地の撮影業者に撮影してもらった写真を購入する。ネガやデータは手元に残らず、撮影依頼から購入までの一連の流れと、渡された1枚の観光写真が作品となる。それぞれに使うカメラは異なり、プリントする機材も異なり、紙もプリントの大きささえ一定ではない。ほぼ同じ構図、そして、衣装はビジネススーツで統一し没個性化させることで、写真の中でアイコン的に映る作家が、さまざまな日本の風景に刻まれていく。
*日本版とあわせ、『シンガポール記念写真』を展示予定


Angelica VERDAN

[2015/映像/第19回アート部門審査委員会推薦作品]

デジタル技術やインターフェイスと人間との関わりを探る作品。本作では、現実の閉じたドアの上に投影されたカーソルが操作される様子が映し出される。作品名に従い、ドアが開く場所を探してダブルクリックしても、ドアは開かない。デジタルインターフェイス上で馴染みあるアイコンに対し、インタラクティブな反応を期待してしまう人間の心理を意識した映像作品。
(3 min. 41 sec.)


Sarah CHOO Jing

[2015/映像インスタレーション/第19回アート部門審査委員会推薦作品]

シンガポールの街を撮影し、実写映像をつなげたマルチメディアインスタレーション。作中では、何気ない人々の行動が繰り返される。作者はシンガポールに特有の「ボイド・デック」(ビル内の用途不明の空間)の社会的な目的を考える。このパノラマ合成映像は究極の虚構空間としてあり、長い時間をかけた断片の蓄積である。
(5 min. 22 sec.)


『\風景』

〔2012/デジタルフォト〕

新津保 建秀

[第14回アート部門審査委員会推薦選出作家]

風景をその空間の現在のありようと、その場における人の営みの痕跡が堆積したものとの総体であると捉え、その場に内在する人の行為の集積によって生成されたレイヤーを写しとろうとする。さまざまな風景写真とともに、情報工学的に生成された地図や、デスクトップ上に展開された個人的な視線の集積によるアーカイブなどであり、堆積する記憶はネットワーク上の不可視の視線と連なっていく。


『100100 views of Mount Fuji』

〔2008-2010/デジタルフォト〕

Jens SUNDHEIM

[第9回アート部門審査委員会推薦選出作家]

2008年から2010年まで、富士山のライブイメージをウェブカメラにより3分毎にアーカイブした記録の中から、いくつかのイメージを写真として出力。葛飾北斎の『富嶽三十六景』(1830年-1836年)『富嶽百景』(1834年)を意図的に参照することで、フィルタリングされていない、高速で、正確なライブトランスミッションによる現代版の北斎を浮かび上がらせている。


『Popular Screen Sizes』

Rafaël ROZENDAAL

[2011/インスタレーション]

3.5インチから60インチまでの見慣れたサイズの鏡が並べられ、それらに映し出される日常が鑑賞者に情報機器のスクリーンに映るものとして捉えられていく。鏡の反射と光の動きの流動性に着眼し、“何か”と“何でもないもの”の間にある繊細な境界線を探った作品。


『Stream 2014』

Joe HAMILTON

[2014/映像]

作家自身のイメージ素材とインターネットから取り入れたイメージ素材をデジタルコラージュした映像作品。オンラインとオフラインのもつ異なるテクスチャー(岩、水や葉、刷毛やモノクロの層)の画像を統合することによって、鑑賞者の持つ観念にゆらぎを引き起こす。
(1 min. 20 sec.)


『You would come back there to see me again the following day.』

津田 道子

[2016/インスタレーション]

鑑賞者が作品の中を移動すると、鏡に映る鏡像やビデオカメラを通してスクリーンに映像が投影される。またフレーム越しに見る実像や、それらが組み合わされた映像によって、思わぬかたちで自分や他の人の姿を目撃する。鑑賞者は視線の迷路に入り込み、作品の中を自由に動き回ることによって、自分が見ているものがどのような過程を経て映りこんでいるのかを、探っていく。


『無題』

高嶺 格

[2011、再製作2017]

油粘土で作られた額縁のみの作品。横浜美術館で行われた大規模個展「とおくてよくみえない」においては、キャンバス状に張った毛布と共に、絵画のフレームをずらす作品として展示された。本来、絵画などの作品を引き立たせ、作品を「完成した形」へと昇華する役割をもつ額縁を、柔軟で不定形であるがゆえに通常は作品のスケッチのために用いられる油土というメディアによって制作した。誰もが子供の頃に使った経験があり、指の痕跡が強く残る油土の質感により、意識は額縁そのものへとフォーカスされ、メディアや作品自体のあり方を問いかける。


『花嫁』

[2011、再製作2017]


『Fluttering Frame』

[2013/映像]

エキソニモ

[本企画ディレクター/第16回アート部門、第17回エンターテインメント部門審査員推薦選出作家]

クラウド・ソーシングを利用して、31ヶ国 54人の参加者によって作られた映像作品。日本の公共放送NHKが放送の終わりに流していた日本国旗がはためく映像を、世界中の人のリビングルームのテレビに映し出してもらい、そのリビングルームごと撮影した映像を収集。映像の断片をつなぎあわせて旗が揺らめく様子をアニメートした。インターネットの時代に国という枠組みが どれだけ意味を持つのだろうかという疑問から出発し、国のシンボルである旗を世界中に拡散させることで、国のありかを探った作品。


岩岡 ヒサエ

[2011/マンガ/第15回マンガ部門大賞]
原画展示

地球全体が自然保護区域となり、地上に降りることが許されなくなった時代、人間は遙か35,000メートル上空の建造物で暮らしていた。上層・中層・下層に分かれた巨大なリングシステムで主人公・ミツは生まれ育った。ミツは中学卒業と同時に、亡き父と同じ職業「リングシステムの窓を拭く仕事」に就くこととなる。職場の師匠や近所の人々、仕事の依頼主たちとの出会いを通して、仕事への誇りや自信を獲得していくミツの成長を丁寧に描いた物語。


磯 光雄

[2007/テレビアニメーション/第11回アニメーション部門優秀賞]

舞台は近未来202X年の大黒市。子どもたちの間では、電脳世界を楽しめるコンピューター"電脳メガネ"が大流行していた。そんな中、大黒市に転校してきた小此木優子(おこのぎゆうこ)は、不思議な出来事を次々と経験する。


Japanese Landscapes from Manga and Animation

JCC内のライブラリーにて、マンガやアニメーションの鑑賞スペースを設置。マンガやアニメ―ションを通して日本の風景を紹介する。

マンガ

【1-1 幻想的な風景】

『土星マンション』岩岡 ヒサエ
『海獣の子供』五十嵐 大介


【1-2 日本の都市】

『よつばと!』あずま きよひこ
『NANA』矢沢 あい


【1-3 日本でかつてあったかもしれない風景】

『大奥』よしなが ふみ
『バガボンド』井上 雄彦
『テルマエ・ロマエ』ヤマザキ マリ
『遥かな町へ』谷口 ジロー


【2 見えるもの/見えないもの】

『もやしもん』石川 雅之
『おやすみプンプン』浅野 いにお


【3 コマから見えるもの】

『センネン画報』今日 マチ子
『この世界の片隅に』こうの 史代
『夕凪の街、桜の国』こうの 史代


アニメーション

『電脳コイル』磯 光雄
テレビシリーズ 全26話

文化庁メディア芸術祭上映プログラム
『Award-winning Program 2016』
『Focus in Japan Selection 2016』
『Beyond the Technology』
『Portrait of Japanese Animation』
『The Medium as Somatic Impulse—Drawing Animations』

展覧会テーマ

「Landscapes: New vision through multiple windows」

近年、コンピューターやスマートフォンのディスプレイを通じて、我々は世界とつながりそこにリアリティを見出している。ディスプレイはまるで新しい風景が映り込む「窓」のようである。
しかし窓について考えれば、既存のメディアであるテレビ、または写真などの印刷物、そして絵画 、さらに部屋に取り付けられた文字通りの窓なども等しく「向こう側の風景へと」つながる機能を持つものであったことに気がつく。
近年は特に、デバイスの小型/携帯化、インターネットへの常時接続化によってその「窓」を眺める時間が劇的に増え、我々の思い描く「外に広がる世界」のイメージは更新されている。
インターネットによってまるで世界が(例えばシンガポールからみた日本が)とても近いもののように感じたり、そこに行ったかのような錯覚を感じることもある。しかし、そこから見えている風景はどれくらい現実の世界とリンクしたものなのだろうか。
本展では、今まで壁に取り付けられていた窓が、ポケットに忍び込んできた現代から見える世界の風景を再点検する。目の前に広がる風景を見つめなおすことで、我々がリアルに感じる世界のありかを探ろうとする試みである。今この瞬間の、そしてこれからの時代を読み解く上での様々な視点を持った作品が集まる、メディア芸術の多様な可能性を示す展覧会である。

企画ディレクター:エキソニモ(千房 けん輔・赤岩 やえ)

連携イベント

会場:ジャパン・クリエイティブ・センター

アーティストトーク セッション 1
[Landscapes of Japan and Singapore]
出演: 海老原 祥子 × Sarah CHOO Jing
日本とシンガポール、それぞれの国や都市を新たな視点で切り取る二人の同性、同世代アーティストによるトーク。
日時:2017年2月4日(土) 13:00-14:30

アーティストトーク セッション 2
[Landscape from unstable window]
出演: 高嶺 格 × エキソニモ
油粘土という定着しない素材によって作られた額縁を展示する高嶺格と、映像の枠組みが不安定に瞬く作品"Fluttering Frame"を展示するエキソニモ。両者に共通する、不安定な枠組みとしての窓(unstable window)から見える景色とは?メディアやそのフレームを批評的に捉える両作家によるトーク。
日時:2017年2月4日(土) 15:00-16:30

企画ディレクター・エキソニモによるガイドツアー
日時:2017年2月3日(金) 19:30-

上映 『電脳コイルSP(スペシャル)』
日時:2017年2月11日(土)、2月18日(土)  14:00-15:30

劇場アニメーション上映

会場:Shaw Theatres Lido 5

上映日:2017年2月5日(日) 12:30〜

『君の名は。』

[2016/劇場アニメーション]

新海 誠

[第6回、9回、17回アニメーション部門審査委員会推薦作品選出作家]

1000年ぶりという彗星の接近が一カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。心と身体が入れ替わる現象が続き、互いの存在を知った瀧と三葉だったが、やがて彼らは意外な真実を知ることになる。
(1 h. 46 min.)


上映日:2017年2月5日(日) 14:50〜

原 恵一

[2014-2015/劇場アニメーション/第19回アニメーション部門審査委員会推薦作品]

江戸風俗研究家である杉浦日向子のマンガ『百日紅(さるすべり)』を長編映画化した作品。火事や妖怪騒ぎなど、喜怒哀楽に満ちあふれている江戸の町。浮世絵師として一世を風靡した葛飾北斎の娘であり、同じく浮世絵師として活躍したお栄(えい)(のちの葛飾応為(おうい))を主人公に、現代にも通じる江戸の人々の営みを描く。
(1 h. 29 min.)


上映日:2017年2月5日(日) 16:50〜

西久保 瑞穂 

[2014 /劇場アニメーション/第18回アニメーション部門優秀賞]

設定は1945年、北海道沖に戦火を免れて浮かぶ小さな島・色丹島(しこたんとう)。ここに、戦争の実感がないまま10歳の兄・純平と7歳の弟・寛太が暮らしていた。しかし8月15日の敗戦に伴い、彼らの生活に大きな変化が訪れる。明日にでも米国軍がやってくるのでは……と不安な日々を送る島民たちであったが、突然上陸したのはソ連軍だった。そして、いつの間にか国境線が変わり、やがて島にソ連兵の家族が移住することになる。島民と新しい隣人との共同生活が始まるのだが――。戦争の不条理と悲劇を「純平」の目線で辿りながら、言葉と文化の違いという壁を越えて、子どもたちの絆が芽生えていくさまが描かれる。日本、ロシア、アルゼンチン、韓国、エストニア、アメリカ、イタリアからの多国籍スタッフが集結して送る、実話に基づいたアニメーション。
(1 h. 41 min.)


上映日:2017年2月12日(日) 15:00〜

原作マンガ『この世界の片隅に』 こうの史代
(第13回マンガ部門優秀賞)

『この世界の片隅に』

[2016 /劇場アニメーション]

片渕 須直

[第14回アニメーション部門優秀賞受賞作家、第5回アニメーション部門審査委員会推薦選出作家]

18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。
1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。そして、昭和20年の夏がやってくる――。
(2 h. 9 min.)


上映日:2017年2月12日(日) 17:40〜

新海 誠

[2013 /劇場アニメーション/第17回アニメーション部門審査委員会推薦作品]

靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は決まって学校をさぼり、公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。ある日、タカオは、ひとり缶ビールを飲む謎めいた年上の女性・ユキノと出会う。ふたりは約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、次第に心を通わせていく。居場所を見失ってしまったというユキノに、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。六月の空のように物憂げに揺れ動く、互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた。
現代の東京を舞台にした繊細なドラマを、アニメーションでしかなしえない表現で紡ぎ出している。
(46 min. 2 sec.)

参加概要

会期: 2017年2月3日(金)〜2月18日(土) 10:00〜18:00  *日・月休館
2月3日(金)オープニング19:00〜
メイン会場: ジャパン・クリエイティブ・センター (4 Nassim Road 258372, シンガポール)
上映会場: Shaw Theatres Lido (350, Orchard Road, 5th/6th Floor, Shaw House)
上映日 2017年2月5日(日)、2月12日(日)
入場料: 無料
主催: 文化庁
共催: 在シンガポール日本国大使館ジャパン・クリエイティブ・センター (JCC)
企画ディレクター: エキソニモ(千房 けん輔・赤岩 やえ)
事業アドバイザー: 古川 タク(アニメーション作家)
毛利 嘉孝(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授/社会学)
企画・運営: 一般財団法人NHKインターナショナル

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