JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

海外メディア芸術祭等参加事業日本のメディア芸術を、世界へ。

上映プログラム

Focus in Japan Selection 2016


日本人作家の作品を中心に収録。海外フェスティバルで日本人作家の最新作品を発信します。


group_inou「EYE」
group_inou「EYE」

橋本 麦/ノガミ カツキ(日本)

第19回 エンターテイメント部門 新人賞3分32秒
ミュージックビデオ

Google Street ViewTM上の画像を繋ぎあわせ、その上をgroupinouの2人が駆け抜けるミュージックビデオ。世界中で撮影された膨大な量の画像をもとに、インターネット上に再構築された「視点」の連続をキャプチャーして映像化している。本曲が収められたgroupinouのアルバム『MAP』にちなんだこの作品は、数々のデジタル・ツールを駆使して徹底的に効率化する過程と、一コマずつ緻密につくりこむ過程の両方によって制作されている。また、制作方法やそのツールはすべてオープンソース化し公開している。シンプルなアイデアながら、テクノロジーの流行や時代性に依存しない、作者の熱量の感じられる映像作品となっている。


OK Go I Won't Let You Down
OK Go "I Won't Let You Down"

原野 守弘/Damian KULASH, Jr./関 和亮/西田 淳/振付稼業 air:man (日本)

第19回 エンターテイメント部門 審査委員会推薦作品5分20秒
ミュージックビデオ

米国のロックバンド、OK Goのミュージックビデオ。体重移動によって全方位に移動できる乗り物UNI-CUBを使って行なわれたダンスパフォーマンスをさまざまな視点から撮影している。地上でのアイレベルの映像から、総勢2,400人によるダンスを上空700mからの俯瞰映像まで、一度もカメラを止めないワンカットでの撮影は、最新技術であるドローンによって可能となっている。


YASKAWA BUSHIDO PROJECT / industrial robot vs sword master
YASKAWA BUSHIDO PROJECT / industrial robot vs sword master

『YASKAWA BUSHIDO PROJECT』制作チーム (代表:阿部 光史)(日本)

第19回 エンターテイメント部門 審査委員会推薦作品4分55秒
映像作品

5つの世界記録を保持する町井勲の剣技を3D解析し、産業用ロボット「MOTOMAN-MH24」を用いて忠実に再現した作品。日本文化が育んできた高度な技をロボットが継承していくことをテーマに、人の身体を使ったパフォーマンスをロボット技術に落としこんだ。精度の追求だけでなく武士道が大切にしてきた礼節や相手を思いやる心まで表現することを試みている。


しずくのことば
しずくのことば

宮岡 瑞樹/石川 泰昭(日本)

第19回 エンターテイメント部門 審査委員会推薦作品2分05秒
映像作品

実際に撮影した雨や水滴と、雨を表わす擬音語を重ねた映像、その擬音語のみで構成された音楽で、しずくが重力に従ってしたたり落ちる自然現象を表現した作品。窓についた水滴が塊をつくり、落ちていく様子と、一文字一文字が集まって「ことば」になっていく様子に類似点を見出し、言葉と自然を織り交ぜたポエティックな映像表現になっている。


息ができない
息ができない

木畠 彩矢香(日本)

第19回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品8分09秒
短編アニメーション

水をモチーフに、現実と心象風景とを織り混ぜながら、主人公の身の置き所のない不安な心情と心の変化を、砂を用いて描き出したアニメーション作品。水泳の授業の最中にふざけた勢いで友だちを溺れさせてしまった少年は、級友からの視線や自責の念に苛まれるうちに、徐々に増えていく水に溺れ、やがて足のつかない水中にひとり取り残される。


何も見なくていい
何も見なくていい

伊藤 圭吾(日本)

第19回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品3分38秒
短編アニメーション

「ふだん自分は何を見ているのか」をテーマにした手描きアニメーション。制作には、鉛筆、パステル、油絵具を用いている。描いた絵をデジタルカメラで撮影し、デジタル上での加工・合成を極力排して映像化している。精神世界のように非現実的な電車内で、外部との接触を絶ち、自らの顔面を内側に回転させ何も見なくった若者と、その顔に黙々とゴミを詰め込んでいく男を描く。


ディス イズ マイ ハウス
ディス イズ マイ ハウス

大川原 亮(日本)

第19回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品3分50秒
短編アニメーション

家庭と外部の狭間でほんのわずかに成長する少年の一瞬を切り取った思春期の物語。作者自らの中学生時代を下敷きに制作したフィクションである。小さな非行を繰り返す少年は苦いブラックコーヒーを飲むことができないが、角砂糖を差し出す母の手をいつも払いのけていた。グラフィックデザインとしても成立するような画面構成に挑んでいる。


ズドラーストヴィチェ!
ズドラーストヴィチェ!

幸 洋子(日本)

第19回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品5分38秒
短編アニメーション

作者が実際に体験した出来事をアニメーションにより再構成した作品。ある夏の日、横浜の海辺で出会ったロシア語を教えるおじさんに連れられ一緒に街へ出かけてみると、見慣れたはずの街が普段と違う風景として見えてきた─。切り紙、クレイなど複数の手法を組み合わせて制作し、実際にロケを行ない、屋外で演技をした音声を用いている。


Voyage de Hokusai (北斎の旅)
Voyage de Hokusai (北斎の旅)

しりあがり寿(日本)

第19回 アート部門 審査委員会推薦作品5分30秒
映像作品

2014年後半から2015年初頭にかけてパリのグランパレ・ナショナル・ギャラリーで開催された「北斎」展のために、テレビ局ARTEから依頼を受けて制作したショートムービー。横スクロールに合わせ、エリック・サティの「ジュ・トゥ・ヴー」のメロディにのってユーモラスに踊り筆をふるい続ける江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎を、手づくり感あふれるロトスコープの手法で描いている。


unforgettable landscape (ROWAN TREE)
unforgettable landscape (ROWAN TREE)

坂本 夏海(日本)

第19回 アート部門 審査委員会推薦作品10分51秒
映像作品

祖母の思い出をきっかけに、「ナナカマドの木(Rowan tree)」をめぐる人々の記憶をつなぐドキュメンタリー映像作品。ナナカマドはアイヌやスコットランドの神話にも登場する不思議な木であった。個人の記憶が他者の記憶とつながり、フィクションと現実を行き来する。人々の記憶を辿りながら、パーソナルな物語が歴史という物語をどのように構成しているのかを本作は追求している。