JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

海外メディア芸術祭等参加事業日本のメディア芸術を、世界へ。

参加者の声

<平成27年度>

久保田 晃弘

(チリ メディアアート・ビエンナーレ 企画展「The quick brown foxp2 jumps over the lazy media. 」企画ディレクター)

チリという地球の真裏の国で、メディア芸術祭で選ばれた作品からなる企画展を開催できたことは、予想以上の収穫があった。チリの人たちは、日本のメディア芸術に対する関心が高いだけでなく、美術に対する造詣も深く、展覧会の作品とその内容について、多様で真摯な議論を行うことができた。同時に、すでに12回を数えるというチリのメディアアート・ビエンナーレを見学できたことも大きい。チリという国の歴史的、政治的背景を反映した独自の文化があることと、ArduinoやRaspberry Piのように、今の技術を特徴付けているオープンなツールやハック精神を共有していることが、不思議なアンビバレンスを生み出していた。
今回の企画に関連して、アタカマ砂漠に設置されたアルマ電波望遠鏡にレジデンスできたことも、とても貴重な経験となった。66台の巨大な電波望遠鏡が受信した遥か彼方からの極めて微弱な電波が、標高5000mで稼働する超高速のコンピュータで合成処理され、そこから息を飲むような美しいイメージが得られるという、これまた何とも不思議というしかない非現実な(しかし現実の)感覚を表現することで、この経験を多くの人と共有したいと思っている。
参加してくれた作家のみなさん、サポートしてくれたスタッフのみなさん、チリの国立天文台のみなさんにも、改めてお礼を述べたいと思う。これを機会に、今回私たちを招いてくれたチリと日本の文化芸術的な交流がますます盛んになることを願ってやまない。

五島 一浩

(第18回アート部門優秀賞/チリ メディアアート・ビエンナーレ 企画展「The quick brown foxp2 jumps over the lazy media. 」出展作家)

チリの方々の反応は予想以上で、たくさんの率直・好意的なご感想をいただくことが できました。地球の反対側で、共通の情熱と未知の視点を体験できたように思います。 どうもありがとうございました。

Alex VERHAEST

(第18回アート部門新人賞/チリ メディアアート・ビエンナーレ 企画展「The quick brown foxp2 jumps over the lazy media. 」出展作家)

文化庁海外メディア芸術祭等参加事業に参加でき、非常に光栄に思ってます。 私にとって素晴らしい環境で作品を展示し、本プロジェクトに参加したキュレイターやアーティストとの新しいネットワークができた良い機会でもありました。

石橋 友也

(第18回アート部門審査委員会推薦作品/チリ メディアアート・ビエンナーレ 企画展「The quick brown foxp2 jumps over the lazy media. 」出展作家)

言葉の壁がある中、現地のスタッフの方々がベストな状態で展示できるように最大限努力してくれました。帰国してから、私の作品に触発されて、私の作品をモチーフに新作を作ったという現地のアーティストからFBで連絡を頂きました。日本の裏側で、作品を作り、それを人に見せ、交流することの意味を改めて知る機会になりました。

金澤 韻

(マタデロ・マドリード企画展「Crazy Planet: Ghosts, Folk Monsters, and Aliens in Manga – An aspect of Japanese Media Arts-」企画ディレクター)

スペインの主要メディアが大きく報道した効果もあり、たくさんの方にご来場いただき嬉しく思いました。一番うれしかったのは、多くの方から、「いわゆるマンガの展示だと思って来たけど、違うんだね。現代美術と同じフィールドだ。」というコメントを頂いた事です。私は常々、このカルチャーが有する一部分が生活と、歴史と、人生と、繊細な感情と、そして文学や美術とかたく結びついていること、芸術の一分野であり、人間として語りたいことは変わらないのだということを見せたいと思っていました。単なる愛好家の内輪受けに終わらず、ある文化の良さと共にその向こうに見える他文化他社会とのつながりを、本展示で発信することができました。

宇川 直宏

(インド企画展「The Medium as Somatic Impulse ―身体的衝動としてのメディウム―」企画ディレクター)

インド最大の都市であるムンバイは、スラム化した巨大マーケットを横目で見ながら、超高層ビルが立ち並び、日進月歩で経済的発展を遂げている!この都市で開催された文化庁メディア芸術祭@EYEMYTHは、文字通り、歴史と伝統とメディアの融合、そしてテクノロジーと人間の身体のギリギリの格闘を映し出すフェスティバルとなった。パフォーマーの全身全霊から放たれる創造の根源としての身体的衝動と、現代テクノロジーの蜜月をライヴパフォーマンスとして開放し得、我々は喝采を得たのだった!そしてこれらパフォーマンスは、150年前の映画館や、ドルビーインディアなど、南アジアの映画の都ボリウッドを象徴する会場で行われた。人間の生きた痕跡が一度も浄化されることなくそのまま都市化したようなスラムの中に潜む、ムンバイのアート、そしてエンターテインメント!人口減少や都市機能の郊外移転、またコミュニティの衰退が大きな問題となっている東京からこの地に招聘された我々が目にしたものは、日本の戦後のヤミ市のような活気に溢れたマーケットであった!無秩序に拡張し続ける市場…。あちこちから香り漂うスパイスに混じって強烈に主張する牛のフン…。路上で奇形化したキャラクターグッズを売りさばく人々…。横丁で拾ってきたモノを売りつけようとする子供達…そして物乞い、物乞い、物乞い…。野良犬、野良猫、更に野良犬…。日本で野良犬を見なくなって久しいが、この生き生きと自己主張するムンバイの野良犬達は、屋台で食事する人々に食べ残しを与えられ、逞しく生きている。そうか、そうだったのか…。地域活性化、そして地縁やコミュニティの結束に野良犬は重要なフィルターになっていたのか…今回の展覧会のテーマは「The Medium as Somatic Impulse」"身体的衝動としてのメディウム"だ。勿論、メディアもテクノロジーも必要だし、ドローンやロボットやAIとの共存も重要だ!しかし、今、僕たち日本人が必要としているメディウムは、この野良犬のような生身の触媒ではないか…?そう、ムンバイは生きていた!!!! 果たして東京は?そして日本は?多くの示唆と課題を与えられたツアーであった。

内橋 和久

(第18回アート部門審査委員会推薦作品/EYEMYTHメディアアーツ・フェスティバル企画展出展作家)

私にとって今回が初めてのインド体験。いろいろ不安もありましたが、スタッフの協力のもと無事展示と公演を終えることができました。インド側スタッフはお願いしたことには一切NOと言わず、とても協力的で誠実に対応してくれたことがとても心に残っています。何より皆が楽しんで参加していることにとても好感を持ちました。コンサートも、やっていて観客の皆さんの興味深そうに聞き入る感じが、私の演奏にもいい意味のリラックス感を与えてくれ、それに緊張感も加え、お互いに良い時間が共有できたこと確信しています。知らないものを知る喜びって素晴らしいし、知らない人の前で演奏する喜びも得難いものです。展示も長い時間いてくださった方々も多いと聞きました。ムンバイならではの空間が演出できたと思います。最後に貴重な機会をいただけたことに対する感謝の気持ちと、一生懸命手伝ってくださった現地そして日本側のスタッフにお礼を言わせてください。また来れる日まで。

齋藤 久師

(EYEMYTHメディアアーツ・フェスティバル企画展出展作家)

公演は1818年に建築された歴史のあるEdward Cinema。映画館であるため、お客さんは全て座っている。しかし、驚いたことに座りながらも我々の発信する電子舞踊音楽に、まるでダンスホールで踊るかのような歓声とアクションで答えてくれた。そこは映画の国インド。彼らは日常的に映画を見ながら一緒に歌い、踊る事がスタイル、文化として根強く定着しているのだ。地元の先鋭音楽家たちとの文化交流もでき、非常に充実した日々であった。

galcid (Lena)

(EYEMYTHメディアアーツ・フェスティバル企画展出展作家)

ドルビースタジオでのワークショップでは、集まった生徒さんたちが真剣に私たちのレクシャーを聴く。ジョークを挟んで皆が笑う。私達の楽器を実際に触れて貰いながらセッションする、素晴らしい交流ができた。エドワード・シネマでのライブステージでは、私達の演奏の熱に、客席が歓声で返してくれる。グルーヴがしっかり伝わっていることがわかった。演奏後も、アンコールが響いた。無事に届けられたことに安堵した。

galcid (Neon)

(EYEMYTHメディアアーツ・フェスティバル企画展出展作家)

ワークショップでは、楽器を演奏するとはどういう事なのか、シンセサイザーを音楽に取り入れるとはどういう事なのか、少しでもその意味を頭と感覚で理解して欲しかった。結果、目を輝かせながら演奏をする彼らの姿は、シンセサイザーがスキルではなく感覚で演奏出来る世の中で一番新しい楽器であることを確信させてくれた。この発見は私の喜びでもあったし、インドのオーディエンスが何か見出してくれたなら、本当に嬉しい。
<平成26年度>

楠見 清

(FILE2014 企画展「Where Heaven meets Earth」企画ディレクター)

地理的に日本からもっとも遠い地域に、日本人アーティストを派遣したことは人的交流において有形無形の意味をもつ。アーティストを派遣しなければ設置できなかった作品を現地で公開できたこと、また、作家・スタッフが比較的長期にわたって現地滞在することで得られた信頼関係は、長期的視点で見ても今後の日本のメディアアート全体に好影響をもたらすものであるに違いない。今回参画させていただいた企画者の立場から感じたことを言えば、このような機会に、他国・他地域の観客たちから日本のメディア芸術がどのように見られるか・見られるべきかを考案し、わかりやすいテーマ設定や効果的な展示方法について、日本側の関係者で話し合うことは大変有意義であった。あるテーマに基づいて組織する企画展には、対外的なプレゼンテーションと対内的なアイデンティフィケーションの2 つの機能がある。こういった作業を継続的かつ試行錯誤的に積み重ねていくことで、日本のメディア芸術は国際的に通じる学術的文脈のなかで、体系的にかたちづくられていく。アーティスト個々人の研鑽による「コンテンツ」に加えて、今回の企画展のように組織的で自覚的な「パッケージング」の有無が今後の日本のメディア芸術の将来を左右するといってもいい。

森 翔太

(第16 回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品・アルスエレクトロニカフェスティバル「Future Innovators Summit」出展作家)

アルスに参加したことで、今後の創作のヒントみたいなものを沢山いただきました。海外アーティストの作品展示の仕方や、一緒に参加したスケルトニクスや和田さんの作品からも影響を受けました。英語ができないのを悔しいと思ったのは初めてだったので、帰国後も出会ったアーティストとFB などで交流し、FIS でやったことを実施しようって盛り上がっています。

中尾 智路

(インドネシア企画展「クリストビオシス:世界の種」企画ディレクター)

インドネシアのバンドンで企画展を開催できたことは、文化庁メディア芸術祭にとって、ささやかもしれないが次につながるチャレンジだったのではないだろうか。展覧会に関わる現地スタッフやアーティスト、オープニングのときの観客の反応などを見て、日本の大衆文化やデジタルアートに対する彼らの関心が非常に高いことが改めてわかった。この企画展がインドネシアの若いアーティストたちの潜在能力を鼓舞したとするなら、素晴らしい一歩になったのではないかと思う。

山口 崇洋(やんツー)

(第15 回アート部門新人賞・インドネシア企画展「クリストビオシス:世界の種」出展作家)

初めてのインドネシアでの展示では多くのことが予想外/予想以上で本当に圧倒されてしまいましたが、決してネガティブな印象ではなく、むしろポジティブで、特別な経験ができたと思っています。本展参加の地元の若いアーティストやコーディネーターたちと交流を持てたのも良かったです。
<平成25年度>

山峰 潤也

(Waterpieces 2013 企画展「Seeking the form of Anima」企画ディレクター)

日本との状況の違いが大きかったこともあり、連日作家や企画者同士で受けた刺激を持ち合い、議論することができ、有意義な機会となった。日本とは異なる環境に身をおくことで視野を広げられることの意義はとても大きい。若手作家やキュレイターの育成といった点においても大きな実績を残すことができた。