上映プログラム

Expanded Animation

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第24回文化庁メディア芸術祭の受賞作品を中心に、「アニメーションの拡張」を感じさせる作品をセレクトしました。その中のひとつ、アニメーション部門大賞受賞作「映像研には手を出すな!」は、それぞれの専門性と個性を発揮し融合し合いながら作品ができていくアニメ制作をダイナミックに描いたテレビシリーズです。この他、これまでの技法やストーリーテリングの方法を超えた独創的な短編アニメーションをご紹介します。

プログラム名:「Expanded Animation」
キューレーター:岡本美津子
制作:文化庁メディア芸術海外展開事業
映像尺:1:01:13
コピーライト:© 2021 Agency for Cultural Affairs, Government of Japan All Rights Reserved

Battles – Sugarfoot

AC部

2020 / ミュージックビデオ / 0:04:16

© WARP RECORDS © AC-bu

Battlesの楽曲「Sugarfoot」の為に制作された映像作品。本作の舞台は、COVID-19の影響で世界中で多くの活動が制限された2020年。悔やまれながらも中止となったフェスやお祭、イベントの無念を晴らすべく描かれた「大宇宙ロボット祭」がテーマである。モチーフとなったのは約400年前から続く日本のお祭文化。そのスタイルは地域によって様々で、踊りながら神様に祈る地域もあれば、神輿を担ぎ町中練り歩く地域もあるが、共通しているのは「平和を願う」という事。本作には、中止となったお祭に代わり、世界中の音楽ファンやお祭関係者に勇気と希望を与え、少しでも楽しんでもらいたいという願いが込められている。

AC部

クリエイティブチーム

海辺の男

森重 光/小笹大介

2019 / 短編アニメーション / 0:05:53
第24回 アニメーション部門 新人賞

© 2019 Hikaru Morishige / Daisuke Ozasa

日本北部のとある島に人知れず打ち上げられる正体不明の生物「オオニュウドウ」を研究する一人の男。架空の世界における彼の島での活動を、インタビュー音声とともに緻密なドキュメンタリー映像として描出する3DCGアニメーション作品。
ゲームエンジンを用いて超短期間のイタレーションサイクルを繰り返しながら、3週間で制作された。従来のアニメーションとは異なるアプローチでの制作を試みている。

森重 光

ゲームデザイナー/映像作家/ニューメディアアーティスト

小笹大介

映像作家/コンセプトアーティスト/絵描く人

かたのあと

ふるかわはら ももか

2020 / 短編アニメーション / 0:04:05
第24回 アニメーション部門 新人賞

© 2020 MomokaFurukawahara

夢の中に、友だちのえみちゃんが出てきた。小さくて温かくて、どきどきした。目覚めてもその感触が残っている中、学校へ行くといつも通りえみちゃんが居る。プールの授業があることを忘れていた主人公は、えみちゃんから水着を借りる。窮屈すぎる彼女の形を感じる。
全編通して鉛筆、赤鉛筆を使い、手描きの柔らかさを大事にした。空気感を表現するための、たっぷりの余白を使ったレイアウトも楽しんで欲しい。ストーリーは、作者の思春期の記憶をベースに構成している。観ている人に、胸の奥底がこそばゆいような感触を与えられたら嬉しい。

ふるかわはら ももか

アニメーション作家/イラストレーター

PIANOMAN

児玉徹郎

2020 / 短編アニメーション / 0:05:30
第24回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品

© ECHOES.Ltd

無限に広がる白く静寂な空間のなかで、記憶をなくした一人の男が目を覚ます。男の目の前には巨大な扉と遠くには古びた神殿。そこには古びたピアノがあった。男が鍵盤に触れた瞬間、戦慄の記憶がよみがえる。
児玉徹郎が代表を務めるECHOES制作によるオリジナル作品。「ストーリーはわけがわからないけれど、画として魅力的な作品」を目指して制作がはじめられた。当初の想定を大きく超え、シナリオや絵コンテの改稿を何度も繰り返しながら、試行錯誤の末に3年半を要して完成した。

児玉徹郎

アニメーション監督/アートディレクター

さくひんのミカタ?

岡江真一郎

2019 / 短編アニメーション、ミュージックビデオ / 0:04:23
第24回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品

© shinichirookae

「あいちトリエンナーレ2019」が開催されていた期間に、団体鑑賞ラーニングプログラムのひとつとして使用されたガイダンスビデオである。
美術館内での過ごし方や注意事項、美術作品の捉え方や美術館の歴史などを、簡潔に伝えるために制作された。
一般的な教則ビデオのように事務的に説明するのではなく、音楽とアニメーションにすることで楽しくわかりやすく伝えたビデオ作品である。

岡江真一郎

アニメーション映像作家/音楽家

マイリトルゴート

見里朝希

2018 / 短編アニメーション / 0:10:13
第22回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品

© 2018 Tomoki MISATO / Tokyo University of the Arts

オオカミに食べられてしまった子ヤギ達を胃袋から助け出すお母さんヤギ。しかし、長男のトルクだけが見つからない。
本作のテーマは親の愛情の狂気。育児放棄(ネグレクト)は問題視されて犯罪として扱われるが、親の過保護は犯罪としてはみなされない。しかし、それは子供が自分自身を学ぶ機会を失わせもする。「一方的な愛情に対する違和感を余韻として残したい」と思い制作された本作は、親の行き過ぎた愛情ははたして正義なのかを観る者に問いかける。

見里朝希

監督/ストップモーションアニメーター

映像研には手を出すな!
第1話「最強の世界!」

湯浅政明

2020 / TVアニメーション Produced by ワーナー ブラザーズ ジャパン / 25:00 (total of 12eps)
第22回 アニメーション部門 大賞

© Sumito Oowara, Shogakukan / Eizouken Committee

高校1年生の浅草みどりは、アニメーションは「設定が命」と力説するアニメ好き。
スケッチブックにアイデアを描き貯めながら、1人では行動できないとアニメ制作への一歩を踏み出せずにいた。
そんな浅草の才能に、プロデューサー気質の同級生・金森さやかはいち早く気づいていた。
さらに、同じく同級生でカリスマ読者モデルの水崎ツバメが、実はアニメーター志望であることが判明。
3人は脳内にある「最強の世界」を表現すべく映像研究同好会、略して“映像研”を設立、活動を開始する。

*本プログラムでは、第1話「最強の世界!」をご覧いただけます。
*全話 Crunchyroll にて配信中(アジア圏以外)
*公式HPはこちら http://eizouken-anime.com/

湯浅政明

監督

第24回受賞作品の詳細はこちら

http://archive.j-mediaarts.jp/festival/2021/animation/